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Energy Reportsで上水道送水ポンプの電力需給調整貢献効果を評価した論文が出版されました

Elesevier社の論文誌Energy Reportsで,上水道の送水ポンプを柔軟性として電力需給に活用したときに,どの程度再エネ利活用に貢献できるのかを評価した論文が出版されました。

 

Y. Akimoto, S. Negishi, and T. Ikegami: "Evaluation of Effect of Providing Balancing Reserves to Power System in Japan Through Operational Control of Water Pumps," Energy Reports, 11, pp.3424-3435 (2024)

 

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本論文は東京農工大学の池上研究室との共同研究による成果です。上水道の送水ポンプによってくみ上げられた水は配水池にためられた後,配水網により需要家に分配されます。つまり,配水池の水位が満たされていれば,いつポンプを稼働させてもよいわけです。

 

この性質から,送水ポンプを電力システムの柔軟性として電力需給調整に活用できるのではないかと着想をしました。本論文では発電機起動停止問題に送水ポンプのモデルを組み込み,2040年の日本を対象として送水ポンプを電力需給調整に組み込んだ際に得られる再生可能エネルギーの有効活用に対する貢献度を評価しました。

 

本論文では水道部門を対象に分析を行いましたが,電力システムに対する需要家側機器の貢献効果はマクロスケールで解析すると基本的に「ちりつも」で,ひとつのセクタで大きな効果は得られません。その一方で,それぞれを定量的に評価していくことが様々な意思決定の場面において重要です。今後も様々なセクタを対象として解析を行っていきます。